JSME関東支部シニア会からのお知らせ

シニアの持つ経験、技術、知恵の継承

シニア会たより 特別編 第1号(1/3)

シニア会たよりへの投稿をお願いしていたら、1回の掲載には収まらないような内容の投稿を頂きシニア会たより編集担当メンバーの相談で特別編として別途連載形式での掲載をすることにしました。その第1回(全3回)を掲載いたします。

私の楽器づくり 第1編:楽器づくりの背景

佐伯 和良

【カテゴリー:趣味】

 私は2019823日に東京理科大学森戸記念館で行われた日本機械学会関東支部シニア会の第一回交流会で私のものづくり~自動車用鋳造設備から楽器づくりまで~のテーマで報告している。

この度、シニア会からその後の楽器づくりについて寄稿を依頼されたので既に報告した楽器づくりの概要を述べた後にその後の楽器づくりを述べたいと思う。

 楽器づくりの契機は、山荘がある山中湖村の陶芸クラブで皿、コップ、花瓶などを作っていた時、NHKTVで土笛づくりを放送しているのを見て、2010年に陶器で作ってみたのが始まりだった。(図1

図1 笛づくり(陶器、塩ビ管)

 弦楽器を作り始めた契機は、学生時代からクラシックギターを弾いていたこと、チェロを弾きたくなり安いチェロを買ったが独学ではうまく弾けなかったので、ギターの調弦でチェロのように弓で弾いてみたらどうかと考えた。それはシューベルトの時代に短期間作られたアルペジオーネという楽器に似ているが売っていないし、作ってもらうお金もないので自分で作るしかないと考えた。

 ヴァイオリンは日本機械学会の「技術と社会」部門のイブニングセミナーで大輪武司さんのヴァイオリンを作った話を聞き私も作ってみたいと考えていた。そんな時、旧中野刑務所正門のスケッチ会があり、近くの平和の森公園に寄り展示場で網走刑務所の受刑者が作った節のないスプルースの柾目材を使ったまな板が800円で売られていたので購入した。しかし我が家の台所で使うには大きすぎヴァイオリンを作ることにした。板厚が30mmもあるのでのこぎりで半分に切って表と裏板にした。側板とネックは楓材、指板、テールピース、顎当ては山荘デッキの廃材(ウリン材)、その他の購入品は糸巻き、駒、顎当ての金具だけだった。チェロとヴァイオリンが出来たので、人間の声に近いというヴィオラ2015年に作った。弓も作ってみた。野球のバットに使うタモ材(150/本)を買い削って作った。ネジ部と弦の馬の毛は購入した。2017年から竹材を入手して尺八を、ウリン材を棹に使った三味線、沖縄の三線など邦楽の楽器を作ってみた。胴は建築廃材、猫の皮や蛇の皮は手に入らないので薄いベニヤ板を使った。

 2019年1月、二胡を作ってみた。胴は門松に使った直径100mmの竹材、棹は建築廃材、弦はスチールギター1セット500円の弦の1弦と3弦を使った。胴に張る琴皮という膜はいろいろ考えた末、クリアファイルを切って張ってみた。製作時間は半日たらず、費用も1000円以下でかなり楽しめる。

 以上が報告済の私の楽器(図2)づくりである。(次号に続く)

図2 手造り楽器群