JSME関東支部シニア会からのお知らせ

シニアの持つ経験、技術、知恵の継承

2023年度関東支部シニア会総会及び特別講演会のご案内。

 お世話になっております.2023年度の総会について,ご案内をさせて頂きます.

 参加方法は,下記の2つがあります.

(1)現地参加(対面)   (2)Web参加(ZOOM)

 参加の回答は下記のフォームに記入くださるようお願い致します(メールの最下段).

なお,総会資料の配付は12月末または1月早々の予定です,同様にメールにて配布させて頂きます.

************************************

 【2023年度 日本機械学会関東支部シニア会総会及び特別講演のご案内 】

日本機械学会関東支部シニア会 会員各位

                       日本機械学会 関東支部

                       シニア会会長 鳥毛 明

  シニア会員の皆様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます.

2023年度日本機械学会関東支部シニア会総会を下記日程にて行いますので,ご案内いたします.

コロナの影響により,昨年2022年度まで遠隔のみで開催いたしますが,本年度は現地での対面とWebの両方で実施することといたしました.

  【総会及び特別講演】

1.開催日時:2024年1月17日(水)15:00~17:00

2.開催形態:会場での対面開催及びZoom同時配信を利用した開催

  会場:東京理科大学 森戸記念館(13号館)第1フォーラム(東京・飯田橋

     〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-4−2

Web開催:招待リンク

   https://us06web.zoom.us/j/84522019547?pwd=TTlSNFJzN3FVWEZMRGdYOHg1b2pFZz09

  ミーティングID845 2201 9547

  セキュリティパスコード  929178

 

3.実施内容

(1) 15:00~15:40 関東支部シニア会総会 

  ①2023年度の事業報告と決算報告   

  ②2024年度の体制と事業計画案    

  ③提案の承認

(2)15:50~16:50  特別講演会 (講演45分,質疑応答15分)

  講演題目:「機械状態監視資格認証事業について(仮)」

  講演者 :防衛大学校 機械工学科 藤原浩幸 教授 

       (JSME 機械状態監視資格認証事業委員会 委員長)

  講演概要:ISO規程に基づいて,工場内で働く技術者の品質を規程している.

日本機械学会ではISO18436シリーズの中で,ISO18436-2(振動)とISO18436-4(トライボロジー)に対応する診断技術者認証を前者を2004年,後者を2009年から実施しており今年で20年を迎えた.この間の活動および今後の取組など講演頂く.

  参考資料:JSME「日本機械学会誌」2023年11月号

特集 機械状態監視資格認証事業20周年

 

4.シニア会総会参加登録について

  下記のWebページにて,氏名と参加方法を選択くださるようお願い致します.

  参加申込(Ctrlを押しながらクリック下さい)

   https://docs.google.com/forms/d/1WGYeZXTBTMt6QRuwx_7v_E01YoxYxYSINIdmUDbEhls/edit

 

不明点などの問い合わせは,JSME関東支部シニア会 顧問(幹事代行) 中山良一まで

nakary50@g.kogakuin.jp宛てメールにてお問い合わせください.

 

シニア会たより 第28号

四季の鉄道風景

四阿 佳昭

【カテゴリー:趣味】

 昨年のシニア会たより第16号「ヨーロッパ鉄道の魅力」に続き、投稿の機会を頂きましたので、できるだけ日本の四季が感じられる写真を春から順にご紹介します。
 どうしても列車が主体になってしまうので、センスが良くない点はご容赦くだされば幸いです。

えちごトキめき鉄道(4月)
 桜の満開時期には花見を優先して鉄道写真を撮り損ねることが多く、春の写真が少ないです。
 信越本線北陸本線から転換した路線で気動車がエンジンをうならせて発進していくところです。
島原鉄道(6月)
 いまは廃止区間ですが、島原の加津佐という町の漁港の風景。
 6月でも暑かったですが開放的なトロッコ列車は心地よかったです。
箱根登山電車(7月)
 スイッチバックや旧型車目当てに何度も行っている箱根登山電車。
 春から初夏にかけて沿線に紫陽花が咲いて夜にライトアップもされて楽しい路線です。
小田急小田原線(8月)
 秦野市にある線路沿いのひまわり畑。
 白いロマンスカーVSEは沿線の子供たち(親にも?)に人気者でした。
 老朽化していないのに構造が特殊という理由から12月10日で引退です。
わたらせ渓谷鐡道(11月)
 紅葉の時期にはトロッコ列車で間近に渓谷を眺めることができます。
 車両の色も紅葉に合わせてあって、足尾線から転換した会社の意気込みを感じます。  足尾銅山の見学もできます。
天竜浜名湖接道(12月)
 元二俣線浜名湖佐久米駅にやってくるユリカモメ。
 列車が近づくと愛嬌を振りまいてエサを貰いに来る、ちゃっかり者です。
留萌本線(2月)
 北海道への出張の翌日に、深川まで足を延ばして温かい車両の中から雪深い景色を楽しみました。
 石狩沼田駅から増毛駅までの区間は廃止になってしまいました。2026年には全線廃止の予定です。

 写真を見ると、何年経っても、その場所の空気感、行き来する列車の車窓などの情景がはっきりと思い出されます。そこが鉄道趣味の醍醐味の一つかなと思います。

シニア会たより 第27号

人工筋肉を追いかけて

石川 敏也

【カテゴリー:体験・機械・技術・自己啓発

 今から45年くらい前のことでした、テレビの科学番組で障害により両腕の無い女の子が義手をつけて自転車に乗る映像を見たことがありました。その義手は大きく重く硬く冷たそうで、人間の腕と大きくかけ離れている様に感じました。そこで、この疑問を解明しようと人体の構造について調べてみました。すると、骨格の上に柔軟な紡錘形の筋肉が何本も重なり合い、それらを皮膚が覆う構造によって人間の姿が形作られていることがわかりました。ところが、骨格や皮膚に該当するものは金属や樹脂で作れそうなのに、筋肉に該当するものだけはありませんでした。そこで、もしこの筋肉に該当するものを人工的に作り出すことができれば、外見上人間そっくりな義肢やロボットが実現できるに違いないと考えました。
 これに大変興味を持った私は、ちょうど受験期だったので、この人工筋肉について学べそうな大学を幾つか選んで受験し、1980年に中央大学理工学部に入学しました。そして、そこで初めてアクチュエータという名称を知りました。それは電動モータや油圧シリンダなど駆動力を発生する部品のことで、まさに機械装置の人工筋肉でありました。しかし、女の子の義手から受けた大きく重く硬く冷たいイメージの原因こそ、このアクチュエータにあることに気がつきました。そこで、より人間の筋肉に近いアクチュエータについて調べると古くは90年以上前から研究されていて、それには「柔軟性の高い伸縮型リニアアクチュエータ」という世界共通のイメージがあることがわかりました。
 私が中大に在学した80年代は、静電アクチュエータ、圧電アクチュエータ、超音波モータ、高分子ゲルアクチュエータなど、新しい原理に基づく新アクチュエータが大学や企業から次々と発表され、一時期ブームになりました。その中でも特に形状記憶合金アクチュエータは、①伸縮型リニアアクチュエータである、②直接通電で駆動できる、③柔軟性が高い、④発生力・発生変位が大きいという大きな特長がありました。そこで、この形状記憶合金で人工筋肉を作ろうと考え、これを卒論のテーマとして研究させてもらいました。ただ、実家の経済的事情もあり大学院には進学できず1985年に就職しました。入社して配属後、人工筋肉を提案しましが、短期間で商品化出来ないものであり却下されてしまいました。
 仕方ないので自宅に研究室を作り、夜間や休日など自分の時間と自費を使って研究を続けることにしました。図1がその研究室で、室内にクリーンブースを設け高いクリーン作業が出来るようにしました。こうして個人的に研究を続け、「巻フィルムチューブ式SMA人工筋肉アクチュエータに辿り着きました。

図1 研究室写真(クリーンブース実験室外観)

 しかし、個人での研究では学会発表が行えるようになるまで10年もかかってしまいました。開発した人工筋肉は、解剖学上の名称から「モータユニット」と呼ぶことにしました。その写真を図2に示します。このモータユニットを実装する場合、図3のように、ロボットの骨格に配置して、冷却液チューブを血管のように配管し、電線を神経のように配線する構造を考えました。

図2 モータユニット

図3 モータユニットを使用した義手

 以上の研究を一度論文にまとめようと思い、研究論文の書き方を学ぶため社会人研修制度の充実した東京電機大学に研究生として2000年に入学しました。この学費・交通費・研究費の全ては自費で賄いました。しかし、2001年に勤務先から静岡県沼津市への転勤を命じられたため、仕方ないので毎週金曜夜に研究室のある神奈川県横須賀市に片道2時間半掛けて帰宅し、研究開発を行い、毎週月曜早朝に沼津に戻る、という金帰月来の日々を13年間続けました。加えて、月に一度は電機大のある千葉県印西市に通学しました。また月曜から木曜の平日の夜には、沼津市のアパートの一室で学会論文などを作成していました。
 しかし、2014年、電機大の担当の教授が定年退官されることになったので、研究生を終了して会社を退職し、母校中大の博士課程後期課程に入学し、博士号取得を目指すことにしました。博士号が欲しかったのは、研究活動を有利にするためでしたが、「自分は今までこんな目標を持ってこんな人生を送ってきたのだ」と言う一つの「証」が欲しかったのが一番の理由でした。中大院では動力源であるSMAコイルばねの改良に着手し、「SMA長方形断面素線コイルばね」を開発しました。図4がその実物写真です。このばねは生体筋に迫る早さで動かすことが出来、従来SMAコイルばねより力が出ることがわかりました。以上の研究をドクター論文にまとめ、2017年に博士(工学)を取得しました。

図4 SMA 長方形断面素線コイルばね

 しかし、研究費を捻出するためこれ以上退職金を削るわけにはいかなかったので、中大には残れませんでした。そんな中、開発テーマを探しに中大を訪れていたK社から私に共同開発の申し入れがあり、2017年から技術顧問として働かせてもらうことになりました。K社では3年間にわたり製品化を目標に開発を進め、2017年の国際ロボット展出展など営業活動にも加わりました。しかし、製品化には至らずK社が撤退を決めたため、2020年に雇い止めになりました。
  その後2年間私費で研究を続け、2022年「人工筋肉アクチュエータ研究所」を立ち上げました。そして本年、生体筋とほぼ同等の性能の①最大発生変位40%、②最大発生応力0.52MPa、③最小時定数125msを達成することができました。
 さて、人工筋肉アクチュエータ研究所の今後の展望について、パワーアシストや義肢の開発には人体全ての筋肉をモデルにした人工筋肉のサンプルが必要になります。そこで、アンドロイド(人間酷似型ロボット)を製作してみたら面白いのではないかと思い、これを当研究所のメインテーマにすることにしました。完成目標は2050年を考えております。これもまた長い旅になりそうです

シニア会たより 第26号

建機のあまり知られていないこと

小林 晃

【カテゴリ:機械】

 長年、建設機械の開発に従事してきたが、一般的にはあまり知られていない機械の特性についていくつか紹介してみる。
 対象の建設機械は、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダの3機種で油圧ショベルは建設現場での掘削、積込作業、鉱山での採掘、骨材採取等最も汎用性が高い。ブルドーザは工事現場で整地と押土作業を、ホイールローダは土砂や骨材の積込み作業、積雪地での除雪作業等に使用されている。

図2 ブルドーザ
図3 ホイールローダ

 その中で今回は特に走行性能に注目してみた。

1.最大牽引力の実際

各建機メーカーの製品紹介欄を見ると、ほぼ3機種とも運転質量(機械質量+乗員の体重75kg)に相当する最大牽引力をほぼ有しているようである。しかしながら実際には鋼履帯やタイヤと路面間にスリップが生じ、最大牽引力を発生することが出来ない。牽引力F=運転質量W×粘着係数cで表されるが表1.に示すよう一般的にcは1.0未満のためである。どうしても最大牽引力を出したい場合は、滑り止めを施す必要がある。つまり実最大牽引力は運転質量と粘着係数の積で決定する。        

2.牽引力と乗り越え性

 牽引力は、エンジンから発生したトルクを履帯式であればスプロケットに、タイヤ式であれば駆動軸を経由してタイヤに伝えることで生じる。牽引力FとトルクMは次の関係にある。

牽引力F=駆動トルクM÷回転半径r=M/r

ここで回転半径rは接地面からスプロケット中心或いは駆動軸中心までの距離を表す。
 上式から、Mが一定とするとrを小さくすればFは増えて一見良いように思える。しかしながら、乗り越え性を考慮するとFが増大してもrが小さくなることで乗り越えられる突起物の高さは低くなる。従って、牽引力と回転半径のバランスが重要になってくる。

図4 乗越えモデル

 今、上図のようにスプロケット或いはタイヤに運転質量の50% 0.5Wが作用し、突起物の高さをhとするとa点回りのモーメントから乗り越えるためには次の条件の成立が必要である。

この式にMは一定として,r=0.3m、F=Wと0.25m,F=1.2Wの場合を比較すると、乗り越えられる突起物の高さhはそれぞれ18.5cm、16.8cmという結果になった。

3.走行特性と動力伝達経路
1)走行特性

 表2.に各機種の走行特性を示す。これからわかるように油圧ショベルは土砂の運搬作業はごく短距離に限られる。これは殆ど場合ダンプトラックと組合せで使用するためである。油圧ショベルは自走しなくてもその場で旋回が出来、ある範囲までは作業機により土砂の運搬が可能であるためである。ブルドーザ、ホイールローダは中距離の運搬作業に適することがわかる。これらの特性の違いは動力伝達経路の違いによるもので、それぞれの基本性能、扱い易さ、コストミニマムを追求した結果、現在の形になっている。  

2)走行動力伝達経路
2-1)油圧ショベル

システムが最もシンプルで、安価に構成でき、故障やメンテナンス対応が容易。しかし油圧ポンプから油圧モータ間は全て油圧伝達で、コントロールバルブ、回転接手による圧力損失が大きく、油量を増やしてもエンジン出力に制限され時速6km以上の走行は難しい。

2-2)ブルドーザ

機械の大きさからくるコスト、作業能力、操作性等の要求品質に応じて、伝達方式を選定している。伝達経路は機械結合、或いは油圧結合であっても短路で大きな圧力損失が発生しないため時速10km以上で走行できる。

2-3)ホイールローダ

  ホイールローダはブルドーザと比較してタイヤと履帯の違いはあるものの伝達経路はよく似ている。大きな相違点としてタイヤ式は履帯式と比較して走行抵抗係数が15%程度であること、差動装置を有することである。

4.最大登坂能力

 機械が登坂できる最大勾配を最大登坂能力というが、1頁で述べた最大牽引力による能力ではなく、実はエンジンのオイルパンの構造とオイルポンプの位置関係によるものである。オイルパン内のオイルをオイルポンプで吸込み、各摺動部に供給するが、登坂時にオイルパンが傾き過ぎるとオイルポンプが空気を吸ってしまいオイルを供給できなくなる。カタログに記載されている殆どの機種での最大登坂能力は、このオイルパンの傾きの限界値を示している。25,30,35度と一定値なのはこのためである。

5.建設機械の動向と期待

 業界の動きとして、掘削整地や盛土締固めの自動化技術が搭載された機械が実用化されているが、コストの壁で普及は限られている。そこで、運転・操作性の更なる改良に力点を置くのはどうだろうか。振動・騒音が小さく、思い通りに操作出来れば、運転者の疲労が少なく作業能率が高くなる。履帯式の足回りでは、一部大型ブルドーザにはトラックローラが路面の凹凸に合わせて揺動する揺動ローラを採用しているが、それ以外の機械でも、コストの課題をクリアして新揺動ローラの開発を期待する。

 

2023年度シニア会メンバー交流会開催案内

2023年度日本機械学会関東支部シニア会第1回メンバー交流会(9/22 15時~)開催案内
関東支部シニア会会員各位
シニア会 会長 鳥毛 明

日本機械学会関東支部シニア会では、2023年度第1回メンバー交流会を下記の通りWEB開催で実施致します。
 参加ご希望の方は、関東支部シニア会幹事高屋(takayashinji52mlbox@ae.auone-net.jp) 宛に 件名『2023年度日本機械学会 関東支部シニア会第1回メンバー交流会 参加申し込み』で メールしていただければ、WEB招待リンクを折り返し送付致します。応募締め切りは9月20日です。

    <<開催案内>>
1)日時:2023年 9月22日(金) 15:00~(1時間+α)   
2)場所:WEB講演(Zoom)[招待リンクは参加申し込みの方にメールでお知らせします。]   
3)講演者 :村上 靖宏 氏   
4)概要     
 近年,「自動車産業は100年に一度の変革期にある」の枕言葉が,陳腐化されるほど使われてきた.
 なかでも,駆動力の電動化がその変革の核心であるかのように語られているが,1900年頃の自動車の黎明期に,内燃機関蒸気機関と電気モーターの選択の過程があったことを振り返る.
 そして,昨今の電動化にまつわる話として,EUに対する日本の主張の正当性を述べてみたい.
 加えて,自動車用潤滑油を中心に携わってきた者の視点から内燃機関と駆動系の信頼性と燃費の向上について述懐する.

    << 以上開催案内>>

シニア会たより 第25号

遥かなる旅の記憶―中国・長江三峡クルーズ紀行

今野 泰宏

【カテゴリー:体験・旅行記

 書斎に貯まった書類などの整理をしている。古い写真を見ながら20数年前にタイムスリップして、遥かなる旅の記憶をたどってみた。1999年の夏、「三峡クルーズの旅」に参加した。中国語教師が同行し、語学研修と観光を兼ねた2週間の旅。

長江三峡クルーズ、旅の概要

 三峡クルーズは、重慶市から湖北省武漢市まで約1,370km長江を下る3泊4日の船旅。(図1)長江三峡は、瞿塘峡(略図➂)、巫峡(④)、西陵峡(⑧)の三つの渓谷の総称で、雄大な長江の流れに険しい峰々の断崖絶壁が連なり、三国志の舞台となった遺跡や寺廟が点在し、悠久の歴史を刻む名所旧跡が多い。当時、宜昌市三斗坪に三峡ダム(⑨)が建設中で、その見学も旅の目玉の一つ。ダム建設により2003年から長江の水位上昇が始まる。大自然の景観を堪能した後、武漢から上海へ飛び、大都会の様子を見聞する。

図1 三峡クルーズのルート

旅の始まり、上海から重慶

 旅は成田から上海への一人旅で始まった。旅の参加者は私と福岡から1名、名古屋から10名の計12名。名古屋便が遅延したので、翌朝、福岡Kさんと上海虹橋空港から重慶へ二人旅。名古屋組は重慶に夜遅く到着した。
 重慶は河川交通の要衝であると同時に重工業都市。市の中心街は長江に嘉陵江が合流する三角形の地形に開けた起伏の多い坂の町で別名山城。重慶到着後、直ぐに市中心の最高部・鵝嶺公園に案内され、展望台から東方向に長江と嘉陵江の流れと市中心街を一望した。

重慶、中国革命歴史の足跡を訪ねて

 3日目、午前中は中国語授業、長江流域の文化と歴史の話。午後は自由行動、初日であり全員一緒にバス乗車を体験。行先は解放碑広場。バス番号と行先表示を確認して乗車。解放碑広場は高層ビルの多い繁華街、歩行者天国、各人自由に百貨店・書店などを歩き回った。
 4日目午後はKさんと二人で中国革命歴史の足跡を訪ねた。中山四路の曽家岩50号(周恩来公館)と桂園(毛沢東蒋介石が協定を結んだ場所)。中山四路は街路樹が美しい落着いた街並み。翌日は重慶郊外の紅岩革命記念館(八路軍重慶駐在所)を訪問、黒く荘厳で質素な建物。バス乗場を探したり道に迷ったりしたが、歴史ある街並みの散策を楽しんだ。

長江三峡クルーズ

 6 日目朝、クルーズの出発は重慶朝天門埠頭から、沖合に停泊した遊覧船に浮橋を渡って乗船。遊覧船は一部屋2 名、窮屈だが展望良し。最初の下船は豊都。道教と仏教の寺廟、冥 界入口のある鬼城に登り、天子殿の閻魔大王像に、時が来たらよろしくと合掌礼拝した。
 翌朝、重慶から445km、瞿塘峡の起点・奉節(①)に停泊。高い丘陵の上に高層ビル群が建設中で、三峡ダム完成後に水没する街の移転先。河岸の斜面に135m、175m と表示の看板があり、2003 年、2009年に水没する標高を示していた。(図2)奉節で小型船に乗換え5km 下流白帝城(➁)へ。白帝城三国時代の英雄・劉備の終焉の地、別名は詩城。唐代詩人が三峡を詠んだ詩碑が並んでいた。白帝城三峡ダム完成後、半島から孤島になる。

図2 奉節の町と遊覧船
図3 白帝廟入口脇:李白「下江陵」詩碑
李白「下江陵」詩碑、周恩来 揮毫 (図3)
李白「下江陵・早発白帝城
朝辞白帝彩雲間、千里江陵一日還。
両岸猿声啼不住、軽船已過万重山。

瞿塘峡(➂):全長8㎞、三峡の中で最も狭く雄々しく険しい峡谷。李白「下江陵」は瞿塘峡の最狭部の情景という。北岸は削ったような断崖の赤甲山、南岸は高い峰の白塩山、高さは1,000mを超える。滔々と流れる長江は、細い帯のような渓谷に流れ込み、川幅は100mまでに迫る。この迫力、壮大なパノラマの素晴らしさに圧倒された。(図4)約20分で通過。

図4 瞿塘峡の最狭部の景観
(下流側から)
図5 神農渓の美しい断崖絶壁
 

巫峡(➃):全長44km。南北両岸に巫山十二峰の奇峰が連なる。北岸の標高1,020mの神女峰(⑤)の頂きには約10m高さの神秘的な石柱・神女があり、三峡の航路の安全を永遠に保つという。巫峡の下流・巴東(⑥)で連絡船に乗り換えて神農渓(⑦)へ。狭い渓谷を20kmほど小舟で漂流し、美しい断崖絶壁、青く澄んだ水の流れを楽しんだ。(図5)
西陵峡(⑧):全長75km、七つの渓谷、浅瀬や曲がりが多く険しい急流が続く。兵書宝剣峡、牛肝馬肺峡など渓谷の険しく切立った岸壁、山の様子は美しく飽きずに見とれていた。
三峡ダム(⑨):翌日予定の三峡ダム見学が早まり小型バスでダム展望台に到着したのは夜8時過ぎ。強いライトに浮ぶ工事現場を見て、スケールの大きさを実感した。 翌朝、目覚めると三峡遊覧の終点・宜昌(⑩)に停泊中。長江は山岳地帯から平野地帯に入り、川幅は倍以上になった。9日目正午、武漢港に到着、クルーズ船旅が終了した。

上海、一人歩き

 11日目武漢から上海へ、4泊。蘇州観光等の団体行動以外はバスを利用して一人歩きに挑戦した。人民広場から南京東路を外灘まで歩いた。街は人波に溢れ、改築中建物が多い。黄浦江対岸には以前の出張時には無かったテレビ塔や高層ビルが建ち並び、別世界に来た印象。発展中の中国の勢いを強く感じた街歩きだった。

おわりに

 長江三峡では大規模で美しい中国の自然に驚嘆し、重慶武漢・上海では近代化へ発展途上の中国の活気を直接肌で感じることができ、心に残る旅であった。目をつむれば、渦巻く長江の流れの音が聞こえるような気がする。

2023年度 エンジニア塾 「ものつくり イベント」開催報告

2023年7月9日(日) 「ロボットを親子で作ろう」と題して、エンジニア塾の「ものつくり

イベント」が実施された。昨年は Webで行われたが、今回はTEPIA先端技術館にて対面で行われることとなった 。
参加者は「エンジニア塾」11 名、保護者10名、シニア会8名およびTEPIAの方2名、合計 31名と大盛況であった。(写真1)

写真1 2023 年度「エンジニア塾」集合写真

本年は高学年が「トリプルクローラー」(写真2)、低学年が「メカ・ダービー」(写真3)を作製した。

写真2 トリプルクローラー
写真3 メカ・ダービー

ものつくりイベントでは、自ら考えながらロボットを作り、完成させることを目指しているため、できるだけ保護者やシニア会メンバーには積極的に手伝わないようにとのお話があった。ロボット組立は約2時間、苦戦しながらの完成(写真4)。

写真4 ロボット組立作業中

その後、トリプルクローラーは階段に見立てた2冊の本をうまく登れるかを観察。また、メカ・ダービー は競争して楽しんだ。(写真5) 最後にシニア会会長から「今回の体験を通じて、これからも、ものつくりへの興味を持ち続けてほしい。」と締めくくられた。

写真5 「メカ・ダービー」 競争

完成したロボットをうれしそうに持ち帰るこどもたちを見て、今回の「ものつくりイベント」が将来のエンジニアになる第一歩にな ることを願う 。
今回、ご協力いただいたTEPIAのみなさまに感謝いたします。(シニア会 新山)