JSME関東支部シニア会からのお知らせ

シニアの持つ経験、技術、知恵の継承

シニア会たより 第20号

テニスと60年の付き合い -60年目のフォーム改造-

中山良一

【カテゴリー:運動】

 

1. スポーツと私

 「たより」を書くのは3回目です、何か良いネタを探していた時に野口先生のボーリングの記事を見て、長年付き合ってきたテニスの経験と最近70歳代で 、テニス打撃法に目覚 めたことを書いてみます。
 先ず、テニスを始めたのは中学2年、軟式テニス部に入部した60年前に遡ります。父がテニスをやっていたので、戦前の木製ラケットがあり、自宅の近くの道路などで父と遊んでいました。その影響で、中学の部活にテニスを選び、練馬区の新人戦で一勝できました。 勝因は、背の低い私が後衛でラリーを続け、背の高いペアの友人が前衛でスマッシュを決める役割分担のお陰です。私達以外のペアは全員負けていたので、少し気持ちが良かったのを覚えています、とは言っても二回戦はあっけなく負けてしまいました。高校に硬式テニス部があったですが、ハードな練習を見て、テニスは諦めました。

写真1 大学時代のフォーム
 上:中山 下:友人

大学入学後、大学にテニスコートがあり、同級生と硬式テニスを始めました。彼は、田園コロシアム(田園調布)のテニスクラブに通っていたので、大変上手で、私の師匠格でした。卒論・修論で、私は金属疲労・破壊、彼は歯車の摩耗の研究を選んで、毎日実験をしながら、テニスをしていました(本当は、テニスの合間に亀裂長さを顕微鏡で計測 、歯車の摩耗量を計量していましたが)。
 当時のラケットは木製で、ガットは羊の腸(シープ)でした、ラケット自体が重くて、振り回す腕力と、腰の回転と安定性が必要でした。特に、バックストロークでは腰の回転を上手に使うことがハードヒットする「こつ」でした。私は、ハードに打てず、バックはスライスで打つことが多く、いつも彼のハードヒットにやられていました。写真1は大学時代の二人の勇姿です。
  二人共に無事、修士を終えて就職、私は、広い敷地の研究所で昼休や夕方のテニスを楽しんでいました。
 1980年代にラケット材質が変化して、私は竹材(バンブー)のラケットを使用、たまたま打球した途端に折れたり、自分の足下地面を叩いて歪んだりする経験を何度か繰り返している頃に、アルミ製のラケットが登場、ガットもナイロン製になるなど道具の改良が図られました。この結果、力ずくのテニスから少し軽いラケットに上手く当てるスタイルに変化したように思います、研究所の昼休みテニス大会でも何度か勝つことが出来る様になり、チーム優勝するレベルまでなりました。

写真2 山中湖テニスキャンプ

 当時、写真2は、山中湖で研究所のテニス合宿時に多分ミスショットした「しょげた姿」です。
 その後、研究所から本社に転籍し、机に座っての仕事となったため、自宅近所のテニススクールに毎週日曜日に通うことにしました。スクールで苦手のバックストローク、ボレーの技術向上を図るのが狙いでした。 その後、大学へ転職後、日曜日に学会などの仕事・イベントが多く、若干サボリ気味でしたがスクールのダブルス対抗戦で、何とか勝つことの出来るレベルとなりました。さらに2018年1月下旬には全豪オープンを現地で見ることが出来ました、往年 のテニスプレーヤーの名前を付けたロッド・レーバー・スタジアムの入口です。この年は錦織選手が出場せず、日本人観光客は少なかったそうです(写真3参照) 。
 そして、2020年頃から私のテニス不調時代が始まり、ボールに力が加わらず、スピンやドライブも掛からない状況が昨年まで続いていました。

写真3 全豪オープン会場にて

 

2 テニス打法 に 開眼 (スポーツ工学?)

 昨年、テレビで野球観戦中にヤクルトの村上選手の打撃フォームを眺めていると、身体から遠い所つまり腕が長い状態で、バットをボールに当てることを発見、その時に腰がし っかりしていることが、ホームランを左右に打てる要因と理解しました。一方、私のテニス打法は、年齢と共に猫背気味になり、そのため腕が前に付いた状況となっている為、ボ ールに当たる時に腕が遅れてしまい、毎回少し詰まった打撃になっていると分析。村上選手の打法を自分で実現するには、上半身を少し後ろに引いて、なるべく腕を伸ばした状態で打つことが良いのではと考えて、昨年後半から実践中。図1は上半身が猫背状態(破線が本来の肩線)での打撃状態で、ボールに当たる時にすこし肘を曲げている状況、図2は上半身を少し後に引く(お腹を少し前に出した感じ)、腕の付け根をボールから遠くすることで 腕を伸ばして、長くした状態での打撃です。

図1 上から見た従来の打法                図2 上から見た現在の打法
(頭が前に出て、矢印破線が短く、肘関節に力が掛かり、回転する可能性大:力負けしている状態)
(頭と方が後ろに下がり、矢印破線が長くなり、肘関節の回転もなく、腕全体が一直線でラケットと一体化している状態)

 テニスは野球と違ってラケットがボールに当たってから、ガットのしなりでボールを捉えて、さらにラケットを自分の肩 まで振り上げるために、ボールに縦向きの回転(ドライブ)が掛かるようになりました。
 最近、この打法を心掛けていると、ボールスピードは速く、回転も多くなり、コートのエンドラインにスムーズに入るようになりました。
 とは言っても、60年間続けてきた昔の「前のめり打法」がすぐに変えられる訳もなく、切羽詰まった場合に焦って、昔の打法で打っている様子で、まだまだテニスの道を究めるには時間が掛かりそうです。